スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

11月, 2019の投稿を表示しています

002 ゴムとは

身近なゴムには、輪ゴム、ボール、タイヤ、靴底、消しゴム(厳密に言うと少々違いますが)がありますし、少しマニアックなところでは、接着剤、免震ゴム、電線、パッキン・・・など、多数あります。 乱暴な言い方ですが、ゴムボールや輪ゴムのように引っ張ったら伸びて、離すと縮むのがゴムと見ておおよそあたりです。 で終わってしまうと、設計者向けの説明としては残念すぎますので、一般的に私たちが形を作るために使用する工業材料の視点から見てみます。 ゴムの立ち位置 工業材料には、金属、樹脂(有機高分子材料)、セラミック(無機高分子材料)があり、ゴムは樹脂に分類される工業材料です。 では、樹脂の中での位置付けを見てみましょう。 硬さの順に繊維、プラスチック、ゴム、塗料、接着剤と分けることができそうです。 ゴムとプラスチックの違い この中でわかりにくいのは、プラスチックとゴムの違いです。 違いは2つあって、一つ目は弾性の有無です。 弾性とは弾む性質のことで、具体例で言えば輪ゴムが伸びて縮む、あの性質です。 その弾性が通常の使用温度領域で持つのがゴム。持たないのがプラスチックという区分けです。 二つ目は流動性です。 柔らかい状態になった時に流動しないのがゴムで、流動するのがプラスチックです。 これを少し技術的な視点で見ます。 弾性については、ガラス転移点が何度にあるか?です。大体0度に設定することが多いのですが、0度以上にあるとプラスチック、0度以下にあるとゴムといった具合です。 このため、寒くなるとゴムもカチンコチンになってしまいます。 余談ですが、スタットレスタイヤは寒い環境でもゴム弾性を保つように配合がされています。 流動性については高度に発達した網目状構造を持つかどうかになります。網目構造になっていると、引っ張っても戻るのでこれが弾性になるのです。 ゴムの特徴のまとめ ここまで、樹脂の中での違いをみてきましたが、触れてきていない項目も含めたゴムの特徴を示します。 ・ゴムは弾性がある ・防振、緩衝作用がある ・温度依存性が大きい ・電気絶縁性である ・劣化が早い ・加硫を必要とする(一部例外あり) ・配合を必要とする(一部例外あり) このような性質を持っています。では、次回からゴムの種

004 各種原料ゴムの基本的特性を見てみよう

 各種原料ゴムの基本的特性  ここでは前回出した3つ目の分類に従い、ゴムの基本的な特性を見ていきます。 3つ目の分類方法は、ゴムタイヤを中心にしたものと言えます。 自動車工業とともにゴムが大きく発展していきましたので、理にかなった分類だと考えています。 さて、自動車工業を始めとした各種工業の発展と共に様々な合成ゴムが多種類開発されました。現在は原料ゴムの選択の幅が非常に広くなっていますが、これらのゴムを大別すると以下の 3 つに分類できます。 一般用合成ゴム:天然ゴムおよび天然ゴムに非常に近い性質を持ち、安価で広い用途に使用されている。 準特殊ゴム:天然ゴムに無い性質を持っており、価格は若干高いが、工業用として広く使用されている。 特殊ゴム:非常に優れた特殊な性質を持っているが、価格が高く、工業用の特殊用途に限定して使用されている。  次回は、この分け方に従って代表的な原料ゴムについて、その分類と概略を説明していきます。