身近なゴムには、輪ゴム、ボール、タイヤ、靴底、消しゴム(厳密に言うと少々違いますが)がありますし、少しマニアックなところでは、接着剤、免震ゴム、電線、パッキン・・・など、多数あります。
乱暴な言い方ですが、ゴムボールや輪ゴムのように引っ張ったら伸びて、離すと縮むのがゴムと見ておおよそあたりです。
で終わってしまうと、設計者向けの説明としては残念すぎますので、一般的に私たちが形を作るために使用する工業材料の視点から見てみます。
ゴムの立ち位置
工業材料には、金属、樹脂(有機高分子材料)、セラミック(無機高分子材料)があり、ゴムは樹脂に分類される工業材料です。
では、樹脂の中での位置付けを見てみましょう。
硬さの順に繊維、プラスチック、ゴム、塗料、接着剤と分けることができそうです。
ゴムとプラスチックの違い
この中でわかりにくいのは、プラスチックとゴムの違いです。
違いは2つあって、一つ目は弾性の有無です。
弾性とは弾む性質のことで、具体例で言えば輪ゴムが伸びて縮む、あの性質です。
その弾性が通常の使用温度領域で持つのがゴム。持たないのがプラスチックという区分けです。
二つ目は流動性です。
柔らかい状態になった時に流動しないのがゴムで、流動するのがプラスチックです。
これを少し技術的な視点で見ます。
弾性については、ガラス転移点が何度にあるか?です。大体0度に設定することが多いのですが、0度以上にあるとプラスチック、0度以下にあるとゴムといった具合です。
このため、寒くなるとゴムもカチンコチンになってしまいます。
余談ですが、スタットレスタイヤは寒い環境でもゴム弾性を保つように配合がされています。
流動性については高度に発達した網目状構造を持つかどうかになります。網目構造になっていると、引っ張っても戻るのでこれが弾性になるのです。
ゴムの特徴のまとめ
ここまで、樹脂の中での違いをみてきましたが、触れてきていない項目も含めたゴムの特徴を示します。
・ゴムは弾性がある
・防振、緩衝作用がある
・温度依存性が大きい
・電気絶縁性である
・劣化が早い
・加硫を必要とする(一部例外あり)
・配合を必要とする(一部例外あり)
このような性質を持っています。では、次回からゴムの種類を見ていくことにしましょう。
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